Family (科名)Sapindaceae
Genus(属名)Paullinia
Spieces(種名)cupana
使用部位
実、種
伝統的利用法
種を煎じる場合は、1回0.5~1カップを1日3回、4:1チンキは1回1~3mlを1日1~3回摂取するのが量的目安となります。ガラナシード粉末は1回1~3gを1日1~3回を目安にカプセルかタブレットにいれたり、摂取するか、ジュースやスムージーに混ぜてお召し上がりください。治療目的での摂取量は、1日4~5gとの報告があります。市販されているガラナエキス製品は、各々製品ラベルの記載情報を参考に。
禁忌
妊娠中、授乳期間中の使用は禁忌です。
ガラナにはカフェインが含有されています。カフェンまたはキサンチンに過敏であったりアレルギーがある場合の使用は禁忌です。
カフェインの過剰摂取は、高血圧、心臓病、糖尿病、潰瘍、癲癇等々の方には禁忌です。
薬との相互作用
ワルファリン等血液凝固阻止剤に対し作用する可能性があります。MAO抑制剤と併用する場合、頭痛等副作用が考えられます。
一般名
Paullinia sorbilis
異名
Guarana, guarana, guarana kletterstrauch, guaranastruik, quarana, quarane, cupana, Brazilian cocoa, uabano, uaranzeiro
ガラナとは
ガラナは、アマゾン原産の匍匐性低木で、マナス、パリンティンス地方に特に多く見られます。青々と茂ったアマゾン熱帯雨林では高さ12m位まで成長します。実は小さくて丸みを帯び、色は明るい赤で房になっています。実が熟すると弾け、中から黒い種が姿を現し、あたかも目のようなその姿は原住民の間で伝説として語られています。
熱帯雨林の先住民によりこの薬用植物が使われていたことが、ブラジル発見の時期を早めたとさえ言い伝えられています。南米インディヘナの部族、特にガラナの名前が由来しているガラニス族では、乾燥させた種を煎り、水と混ぜてペースト状にします。そしてそのペーストはチョコレートと同様の方法で、様々な食品や飲み物、薬品の原料の一つとして利用されています(1)。
熱帯雨林の先住民の間ではガラナは主に、興奮剤や鎮痛剤、慢性の下痢の治療などに用いられて来ました。植物学者のジェームス・デューク氏は、ガラナの利用法の過去・現在として、動脈硬化予防、効果的な心臓血管薬、鎮痛、収斂(アストリンゼント)、解熱、興奮、下痢の治療の為の強壮剤、高血圧の治療、偏頭痛、神経痛、赤痢の治療などを挙げています(1)。
ガラナに関する数多くの神秘的な効能が、多く探検家達や入植者達へと数世紀に渡り伝えられてきています。1940年代に入りフランスとドイツでガラナの効能に対する科学的な研究が始まり、そして徐々に、熱や頭痛、そして精力増進など長年に渡り利用されてきたガラナの効能が科学的にも根拠十分であることが発見されて行きます。(2)
地元経済への貢献
今日、ガラナは世界的にも知名度が高く且つ広く利用されており、特にブラジルの国民飲料でもある『ガラナソーダ』の主要成分であることは良く知られています。世界のガラナペースト商業生産量の実に80%がブラジル北部のアマゾン熱帯雨林の中、ガラニインディアンにより供給されており、それは野生栽培された種を手作業によりペーストへと加工するといった伝統的な手法によるものです。ブラジル政府は、熱帯雨林の原住民が採用している伝統的手法によるガラナ生産の重要性を認識しつつあり、ガラナの国内生産を増やす為に、1980年以降、FUNAI(NATIONAL INDIAN FOUNDATION)により多くのプロジェクトが立ち上げられました。現在、マナウスの地方行政当局の指導の下、ガラナの栽培や生産を通し、多くの共同農業が熱帯雨林に住むインディヘナ部族の経済を支援しています(3)。
ガラナとカフェインの関係
ガラナの種の化学分析を最初に行ったのはドイツの植物学者セオドア・フォン・マルティウスで、1700年代まで遡ります。マルティウスは優れた生理学的な手法を用いて、苦くて白い水晶の様な物質を種から取り出すことに成功しました。マルティウスはこれをガラニンと名づけましたが、これが後にカフェインと呼ばれるようになります。ガラナの種には最大5%(25,000~75,000ppm)のカフェイン、300~500ppmのテオフィリン(アルカロイドの一種)、300~500ppmのテオブロミン(神経興奮剤などに用いる)が含まれています(9)。
キサンチンアルカロイド(カフェイン、テオフィリン<筋弛緩剤、血管拡張剤等に用いる抽出成分>、テオブロミン<神経興奮剤、動脈拡張剤、利尿剤等に用いる抽出成分)は、ガラナが持つ治療作用に大きく貢献していると考えられています。臨床研究では、テオフィリンは、心筋や中枢神経系を刺激し、敏捷性や注意を高めたり、心身疲労を軽減する作用があります。また、強い利尿作用も持ち、気管支の緊縮を低減するので、喘息に有効です。テオブロミンも同様の効果を持ちます。確かに、ガラナの民間伝承的利用法の多くは、このカフェイン含有により説明することがでいきると考えられます。カフェインに関する立証された効能の中には、脂肪を減少させたり、疲労を軽減する作用も含まれています。
1998年に発表されえた動物実験を伴った毒理学上のリサーチでは、体重1kgあたり2gという大量のガラナを摂取したとしても、一切毒性がないことが実証されています(15)。
同じリサーチの中で行われた、1.2 microg/mlという濃縮度の低いガラナエキスを用いた実験では、脂質の過酸化を防止する作用が確認され、ガラナの持つ抗酸化特性が実証されています(15)。
ガラナの効能に対する科学的アプローチ
先住民によるガラナの利用には長い歴史がありますが、一方でガラナの効能が科学的にも十分に根拠があることが、ゆっくりとしかし確実に、明らかになりつつあります。
1989年、米国においてガラナの種のエキスが哺乳類の血液中の血小板の凝固を抑制することができるとする特許が正式に提出されていますが、ここではガラナには血液の凝固を防止したり、既に凝固してしまっている血液を分解する効能があることが説明されています(6)。この特許に関連し、ブラジルの研究グループにより、血液凝集に対抗するガラナの特性に関する実験が実施されていて、その臨床データが1989年と1991年の2回に渡り提出されています(7)(8)。ここにおいて、心臓強壮や『血液を薄める』など先住民による伝統的利用法について科学的評価が与えられています。
ガラナが持つ精力強壮作用や精神的な鋭敏さを増す効果、記憶力を向上させる効果についても近年科学的な根拠が与えられています。1997年に行われたネズミを使った生体内実験では、肉体的能力の向上、ストレスにさらされた環境での肉体的耐久力の向上、継続的な投与のみならず、一回きりの投与でも記憶力が向上することが実証されています。興味深いことに、この実験ではガラナから抽出したカフェインだけの投与や朝鮮人参エキスよりも、ガラナの種全体から作ったエキスの方が効果的であると結論づけています(10)。別のブラジル研究班によるリサーチでは、ガラナの記憶力向上効果は、種に含まれているエッセンシャルオイルに関係していると報告されています(11)(12)(13)。マウス実験の結果、ガラナには記憶保持力を向上させたり、健忘症を防ぐ作用があるこが立証されています。"神経に負荷をかけることなく"、持久力やメンタル的な注意力を高める作用について、ガラナを含む2種類の薬草に関する特許が米国でファイルされています。ガラナは、しばしば他の植物との配合によって、体重減を促進し、満腹感を創造し、穏やかな発熱作用を発揮します。
ガラナは伝統的に頭痛や偏頭痛に用いられています。1997年の研究ではガラナの持つ鎮痛効果が発見され、これは、頭痛だけでなく、神経痛、腰痛、リューマチに対するガラナの有効性を説明付けるものと考えられます。2001年には、ガラナを含む薬草の組み合わせにより、痛みや頭痛や偏頭痛に関連する他の症状を和らげる作用に関し、特許がファイルされています。
ガラナの持つ結腸やサルモネーリャに対する抗細菌作用に関するリポートも発表されています(14)。ガラナの抗酸化作用に関する研究に携わった研究者達は次のように纏めています。「ガラナは抗酸化作用を示します。なぜならば、ガラナは、低濃度(1.2 mcg/ml)においても、脂質の過剰酸化プロセスを阻害するからです。」1998年に行われたマウスを用いた実験では、ガラナエキスが著しく血液中のブドウ糖レベルを上昇させ、過度に引き起こされた低血糖症を抑える結果が得られています(16)。
自然にあるナチュラルな刺激剤としての著しい作用、そして何より人の健康に貢献するメリットにより、沢山の健康食品やサプリメントとして、或はハーブレメディーの配合素材として、またジュースバーのエナジードリンクメニューとして、ガラナは世界レベルでその知名度を高め、人気を集めています。しかし、ガラナの知名度を利用するために、単にガラナの名前をラベルに記載したり、或はガラナの代わりにカフェインを添加する、倫理観に欠ける製造メーカが存在するのは
残念なことです。カフェインの含有量を保証したり、規格化したガラナエキス商品が今日では入手可能ですが、残念なことに、ガラナシードに天然に発生している"すべての植物化学成分"を濃縮したものというよりもむしろ、ガラナ粉末やエキス粉末にカフェインを後から添加することにより、エキス製品としての規格を成立させている場合が多々あります。米国Food and Drug Administrationが24種類の市販されているガラナ製品を対象とした検査結果を公表しました。それによると、色層分析グラフと分析の結果、検査対象とした商品のうち多くは、本物のガラナを有効成分として含有していないか、表示しているよりも少ない含有量である可能性を示しています。
【出典】
Leung & Foster. 1996. Encyclopedia of Common Natural Ingredients
James A. Duke & Rodolfo Vasquez. 1994. Amazonian
Ethnobotanical Dictionary. CRC Press, Florida. Henman AR. Guarana (Paullinia cupana var. sorbilis): ecological and social perspectives on an economic plant of the central Amazon basin. J Ethnopharmacol, 1982 Nov
Earl Mindell, 1992. Earl Mindell's Herb Bible. Simon & Shuster, New York.
John Heinerman. 1996. Heinerman's Encyclopedia of Healing Herbs & Spices.
Antonio Bernardes, 1984. Bazilian Herbs, Folklore, History & Uses. Shogun Editora e Arte Ltda. R.J. Brazil
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Bydlowski SP, et al. An aqueous extract of guarana Paullinia cupana) decreases platelet thromboxane synthesis. Braz J Med Biol Res, 1991
Belliardo F, et al. HPLC determination of caffeine and theophylline in Paullinia cupana Kunth (guarana) and Cola spp. samples. Z Lebensm Unters Forsch, 1985 May
Espinola EB, et.al., Pharmacological activity of Guarana (Paullinia cupana Mart.) in laboratory animals., J Ethnopharmacol 55 (3) 223-229 (Feb 1997)
Galduroz JC , et al; Acute effects of the Paulinia cupana, "Guarana" on the cognition of normal volunteers. Rev Paul Med, 1994 Jul-Sep
Galduroz JC , et al; The effects of long-term administration of guarana on the cognition of normal, elderly volunteers. Rev Paul Med, 1996 Jan-Feb
Benoni H , et al; Studies on the essential oil from guarana. Z Lebensm Unters Forsch, 1996 Jul
da Fonseca CA, et al. Genotoxic and mutagenic effects of guarana (Paullinia cupana) in prokaryotic organisms. Mutat Res, 1994 May
Mattei R, et al. Guarana (Paullinia cupana): toxic behavioral effects in laboratory animals and antioxidants activity in vitro. J Ethnopharmacol. 1998 Mar;60(2):111-6.
Miura T, et al. Effect of guarana on exercise in normal and epinephrine-induced glycogenolytic mice. Biol Pharm Bull. 1998 Jun;21(6):646-8.
Carlson M, et al. Liquid chromatographic determination of methylxanthines and catechins in herbal preparations containing guarana. J AOAC Int. 1998 Jul-Aug;81(4):691-701.
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