Family (科名) Bixaceae
Genus(属名) Bixa
Spieces(種名) orellana
使用部位
蔓、種、樹皮、葉
伝統的利用法
葉を煎じる場合:1回1カップを1日2~3回経口摂取。
高コレステロールや高血圧には種の粉末を1日5~20mg。ont>
禁忌
種から抽出したエキスに高血糖作用があることが犬の実験においてわかっている。
よって、糖尿病には禁忌。アチオテ種子に含まれるビキシン(赤橙色素でカロチノイドの一種)に対しアレルギー反応を示した一人の患者について1991年に報告されている。
それは"過敏症の潜在的レアケース"
薬との相互作用
報告なし
一般名
Achiote, achiotec, achiotl, achote, annatto, urucu, beninoki, bija, eroya, jafara, kasujmba-kelling, kham thai, onoto, orleanstrauch, orucu-axiote, rocou, roucou, ruku, roucouyer, unane, uruku, urucum, urucuru
異名
Bixa acuminata, B. americana, B. odorata, B. platycarpa, B. purpurea, B. tinctoria, B. upatensis, B. urucurana, Orellana americana, O. orellana
アチオテとは...
アチオテは実を沢山つける低木で、高さ5~10mに成長します。枝の末端のところにはチクチクした刺を持ち、赤味がかったオレンジ色をしたハート型の莢が生り、その中には50個前後の種があります。アチオテは文字どおりこの鮮やかな色をした莢に覆われ、一本の木がつける種の量は270kgにもなります。種は赤い衣に覆われていて、それはオレンジ色や黄色の顔料の原料となります。アチオテは中南米一帯とカリブ諸島に自生し、メキシコの一部でも見ることができます。種を潰して水に浸け、そして水分を蒸発させることによってできる色鮮やかなペーストは、明るい黄色やオレンジ色を着色するために、スープやチーズなどの食べ物に加えられる用途で伝統的に使用されてきています。この南米産のアチオテ種のペーストは北米やヨーロッパへ輸出され、マーガリン、チーズ、ポップコーンやその他黄色やオレンジ色の食材の天然着色料として使用されています。また、サフランの代替品として料理に使用される場合もあります。食品以外でも、衣服やウールの天然着色料として、時にはペンキやワニス、ラッカー、化粧品や石鹸に加えられることもあります(1)。
アチオテの伝統的利用方法
アマゾン熱帯雨林一帯では、アチオテの種がボディーペインティングや織物の染料として伝統的に利用されてきています(2)(3)。近年、種から作ったペーストやオイルが良く利用されている一方、熱帯雨林に住む原住民の間では数世紀に渡りアチオテの木全体が薬用に利用されてきました。ピウラ族では若枝から作ったお茶が、下痢止めや媚薬、アストリゼントとして利用されたり、皮膚病、肝炎、熱の治療に用いられたりしています(4)。アチオテの葉は、皮膚病、肝臓疾患、肝炎の治療や媚薬、下痢止め、解熱剤として用いられたり、消化器系に良いと考えられています(5)。コヘデス族では、花の浸出液が便通剤、或いは赤ちゃんの去痰に利用されています。
南米各国のハーブ医療におけるアチオテの利用法
ブラジルにおける伝統医療では、今日でもアチオテを辛い物を食べた後の胸焼けや胃痛、利尿剤、便通薬としての利用が推奨されています(8)。一方ペルーでは女性器や皮膚の感染症の消毒、傷薬、肝臓や胃の不調にアチオテの種が用いられています(9)。また、アチオテの乾燥させた葉はペルーでは『アチオティック』と呼ばれていて、8~10枚の乾燥させた葉を1リットルの水で10分間程度煮出します。この煮出し汁(温かい状態でも冷たい状態でも)1カップ、1日3回食後に飲用すると、泌尿器系の不調や炎症の治療、尿道の炎症の治療、動脈系の高血圧、高コレステロール、膀胱炎、肥満、腎臓機能不全、尿酸除去などの治療で有効とされています。ペルーアマゾンのシャーマンは、アチオテの葉と茎から抽出したジュースを直接点眼し、目の炎症や癲癇の治癒にも用いられています。
アチオテの活性成分と臨床データ
アチオテの含有成分は、セルロース(40%~45%)、スクロース(0.3%~0.9%)、エッセンシャルオイル(3%)、固定油(3%)、顔料(4.5%~5.5%)、プロテイン(13%~16%)、αカロチノイド・βカロチノイド etc... があります(10)(11)(12)(13)。乾燥させたアチオテの葉と種から抽出したエチルアルコールを使った臨床実験では、エスケリチア結腸とブドウ状球菌アウレウスに対する試験管内での活動が実証されています。また、アチオテの根から抽出した水性エッセンスを用いた動物実験では、ラットに投与した場合血圧降下作用が、モルモットに投与した場合筋肉弛緩効果があることが、また乾燥させた種から抽出したクロロフォルムエッセンスを犬に投与したところ血糖値を下げる効果があることが実証されています(14)。
アチオテにはタンニン、精油、サポニン、マスタードオイルのような成分、モノキテルペン、セスキテルペンなどが植物化学成分が含まれています(15)。また、種から抽出されたオイルは、カロチノイド(赤・黄色素)として分類されているビクシンやノルビクシン等顔料の主な供給源でもあります。ビクシンは主に食品向けの天然着色料として利用されていますが、UVプロテクション効果があるとも言われており、酸化防止作用や肝臓を保護する特性があることが実証されています。一方、アチオテは、アルドース(アルデヒド基を有する単糖類)還元酵素の抑制体としての特性があるとする研究レポートも公になっており、1995年に発表された研究では淋病を抑える特性についても実証されています(16)(17)(18)(19)(20)(21)。
アチオテのボディーケア商品への応用
アチオテは、世界的にも食品の天然着色料としての用途は既に良く知られているところですが、最近特にボディーケア商品向けに利用されるケースが増えてきています。アチオテオイルは皮膚軟化薬でもあり、その高いカロチノイド含有量が抗酸化特性を生み出しています(22)。よってシャンプー、クリーム、ローションなどボディケア商品などにアチオテオイルが利用されている場合、明るく深みのある色合いだけでなく、抗酸化効果も新たに付け加えられることになるわけです。
アチオテの葉の煎じ汁をコップ半分程度、1日2~3回飲用すると、前立腺や泌尿器系の不調や高コレステロール、高血圧などに効果があります。また、アチオテの種の粉引きも、毎日1~20mgづつ摂取すると、高コレステロールや高血圧に効果があります。服用量を増やすと尿の量が著しく増える場合があります。また、人によってはアチオテの種に敏感に反応するケースもあり、例えばアチオテで着色されているポップコーンを一袋食べると尿の分泌量が増えるケースもあるようです。
【出典】
Schultes, R.E., "Gifts of the Amazon Flora to the World". Arnoldia 50(2): 21-34 (1990).
Schultes, R., Raffauf, R., 1990, The Healing Forest, Dioscorides Press.
Acero, D. Prinipales Plantas Utiles de la Amazonia Columiana, Proyecto Radargrametrico del Amazonas, Bogata, (1979).
de Feo, V. 1992. Medicinal and magical plants in the northern Peruvian Andes. Fitoterapia 63: 417-440
Duke, James A., Vasquez, Rodolfo, 1994, Amazonian Ethnobotanical Dictionary, CRC Press.
Branch, L.C. and da Silva, I.M.F. 1983. Folk Medicine of Alter do Chao, Para, Brazil. Acta Amazonica 13(5/6):737-797. Manaus.
Heinerman, John, 1996. Heinerman's Encyclopedia of Healing Herbs & Spices. US
De Almeida, E.R., 1993. Plantas Medicinais Brasileiras, Conhecimentos Populares E Cientificos. Hemus Editora Ltda. Sau Paulo, Brazil.
Kember Mejia and Elsa Reng, 1995. Plantas medicinales de uso popular en la Amazonia Peruana. AECI and IIAP, Lima, Peru.
Ohasi, E.Y., et al, Urucu. Uma opcao para o Estado do Para. Belem. Secretaria de Estado de Agricultura, Boletim informative No. 6. 25 pp (1982)
Matos, F.J., Cienc. E Cult. 39: (7) Supl: 533. (1987).
Bressani, R., el al., Arch. Latinoam. Nutr. 33: (2): 356-376, (1983).
Angelucci, E., et al., Ital. Capinas, 11: 89-96 (1980).
Rosita Arvigo and Michael Balick, 1993. Rainforest Remedies, One Hundred Healing Herbs of Belize. Lotus Press, Twin Lakes, WI.
Lawrence, B.M. and Hogg. J.W., Phytochemistry 12: 2295 (1973).
Scita, Retinoic acid and beta-carotene inhibit fibronectin synthesis and release by fibroblasts; antagonism to phorbol ester. Carcinogenesis 15: 1043-1048 (1994).
Zhang, Carotenoids up-regulate connexin43 gene expression independent of their provitanin A or antioxidant properties. Cancer Res 52: 5707-12 (1992).
Di Mascio, Carotenoids, tocopherols and thiols as biological singlet molecular oxygen quenchers. Biochem. Soc. Trans. 18: 1054-6 (1990).
Hirose, Energized state of mitochondria as revealed by the spectral change of bound bixin. Arch. Biochem. Biophys. 152, 36-43 (1972)
Inada, Spectral changes of bixin upon interaction with respiring rat liver mitochondria. Arch. Biochem. Biophys 146, 366-7 (1971)
Sousa, M.P, Matos, M.E and F.J, et al., 1991. Constituintes Quimicos Ativos de Planta Medicinais Brasileiras. Laboratorio de Produtos Naturais, Fortaleza, Brasil.
Campelo, C.R., Contribuicao ao Estudo das Plantas Medicinais no Estado de Alagoas III, VII Simposio de Plantas Medicinais do Brasil, p. 85m 1-3 de Setembro, Belo Horizonte-MG, (1982).
Beckstrom-Sternberg, Stephen; Duke, James; Ethnobotany Database, USDA
注 : 当ウェブサイトに含まれている情報は、啓発的或いは教育的なところを目的として紹介しているものであり、病状の診断、療法の処方、病気の治療など適切な医療行為の代替としての使用を意図するものではありません。