アモール・セコ(Amor Seco)
アモール・セコ(Amor Seco)

Family (科名) Asteraceae
Genus(属名) Cynara
Spieces(種名) scolymus


使用部位

葉、花

伝統的利用法

葉の蒸らし茶を食後に1日1~3カップ。
1:4アルコールチンキを3~ 4ml。
ドライハーブ粉末をカプセルに入れて1日3~5g。

禁忌

経口摂取については報告なし。生の状態で触ると皮膚の炎症をおこすとの報告あり。
民間伝承的にはアルカチョフラには血糖値を下げる作用があると言われているが、この作用を確認した臨床例の報告はない。
糖尿病や高血糖症の治療に用いる場合は血糖値レベルの注意深いモニターが必要。

薬との相互作用

アルカチョフラエキスには血中コレステロール値を下げる作用臨床例や動物実験で確認されている。
よって、コレステロールを下げる薬に対し影響を与える可能性がある。

一般名

Globe artichoke, alcachofra, alcachofera, artichaut, tyosen-azami

異名

なし

アモール・セコとは

アモール・セコは、高さ50cm程度の一見雑草のような多年生の薬草で、沢山の枝別れと臼紫色の花、そして3cm程度の長さの莢の中に豆状の小さな実がその特徴です。多くの熱帯の国々に生息し、広々とした森林や牧場、庭先や道端でもよく見られます。

アモール・セコの伝統的利用方法について

アマゾン熱帯雨林の先住民達は、アモール・セコを薬草として伝統的に用いて来ており、今日でも頻繁に利用されています。アモール・セコの伝統的な利用法としては、水に浸して成分を浸出させた浸出液が神経症患者に、入浴剤として膣感染症の治療に用いるなどの用途が良く知られています(1)。また、仲が悪くなったり倦怠期に入った夫婦に用いると夫婦仲が戻るなど、アモール・セコには神秘的な力があると信じている先住民も存在します(1)。アマゾンのリオ・パスタサ族では、アモール・セコで立てた茶で乳が出ない母親の胸を洗うと、乳汁分泌が促進されるといった利用法が知られています(2)。その他にも、避妊薬や健康茶としての飲用、すりつぶしたアモール・セコをライム果汁と混ぜ合わせた液体は傷薬として、水に浸して活性成分を浸出させた液が発作、ひきつけ、性病のただれ等に用いられています(4)。ブラジル全土の様々な地域に住む8000人以上の先住民を対象に行った民族植物学アンケート調査では、アモール・セコをマラリアの治療薬として使用しているといった結果も得られています(5)。ニカラグアのガリフナ族では、下痢、性病の治療、消化促進にアモール・セコが用いられています(6)。

中南米におけるアモール・セコの利用法

アモール・セコの薬草としての利用は中南米の都市部にも浸透しています。ペルーのハーブ医療では、血液浄化剤、環境汚染や化学製品関連汚染により汚れた身体からの毒性の除去や浄化、尿管の洗浄、炎症や刺激痛など子宮関連の不調や出血の治療等が主な用途として挙げることができます(7)。ベリーズでは”ストロング・バック”と呼ばれ腰痛に良いと考えられて、ハーブ全体をラム酒に24時間以上浸け込み、1/4カップづつ1日3回、これを7~10日続けるという療法があります。また、同じくハーブ全体を3カップの水で同じく10分間煮出した温かいお茶を食前に3~5日続けて飲むのと腰痛、筋肉痛、腎臓疾患、インポテンツに効くと言われています(8)。ブラジルでは乾燥させた葉が、全身の痛み、下痢、淋病に(9)、ガーナでは便秘、赤痢などの治癒に葉が煎じて利用されます(10)。

アモール・セコと喘息

アモール・セコの伝統的な利用法の一つに気管支喘息が挙げられますが、この効能に関しガーナのハーブ研究家により興味深いデータが得られています。1977年の臨床実験では、乾燥させたアモール・セコの葉を粉状に砕き、ティースプーンで1~2杯の分量を1日3回毎日気管支喘息患者に投与したところ、ほとんどの患者において症状の改善や喘息の鎮静が見られるという結果が得られています(10)(11)。この効果的な自然治療薬の働きのメカニズムを解明するために、数々の動物実験が行われました。モルモットを使った一連の実験では、アモール・セコの水性或いはエタノール性のエキスを経口摂取したケースでは、過敏性収縮の減少、ヒスタミンにより引き起こされる収縮の干渉、細胞から発生する平滑筋刺激物質の量の減少が確認されています(12)-(16)。アモール・セコの持つ気管支喘息に対する有効な治療薬としての潜在性が明らかになりつつあります。

広がるアモール・セコの用途

このように様々な試みによりアモール・セコの有効性が理解され、そして解明されて行く中で、製薬会社による喘息関連特許薬の開発を待つまでもなく、多くの自然療法士やハーブ研究家は、アモール・セコを喘息やアレルギーに対し有効な機能性を持つ薬草として、頻繁にそして効果的に利用しています。また、関節炎、リューマチ、様々なアレルギー反応、過敏症等の症状とアモール・セコの服用により引き起こされる化学的プロセスを関連付ける研究リポートが近年発表されており、これにより先住民が代々伝承してきた、腰痛や関節炎に対する効能についても、科学的に説明されることが期待されています。アモール・セコは、カプセルやお茶として簡単に飲用できますし、少量の服用でも高い効果が得られます。更に、これまで実施されてきた数多くの研究や調査において、アモール・セコの副作用や毒性については一切報告されておりません。

【出典】
Duke, James & Vasquez, Rudolfo, 1994 Amazonian Ethnobotanical Dictionary, CRC Press Inc.: Boca Raton, FL
Schultes, R.E., and Raffauf, 1990. The Healing Forest. Medicinal and Toxic Plants of the Northwest Amazonia, R.F. Dioscorides Press: Portland Oregon.
Vasquez, M. R., 1990 Useful Plants of Amazonian Peru. Second Draft. Filed with USDA's National Agricultural Library. USA
Duke, J.A. 1978. Isthmian Ethnobotanical Dictionary. 2nd ed. Paperback. 96 pp
Brandao, M., et.al., 1992. Survey of Medicinal Plants Used as Antimalarials in the Amazon. J Ethnopharmacol 36 2: 175-182 (1992)
Coee, F., et.al., 1996. Ethnobotany of the Garifuna of Eastern Nicaragua. Econ Bot 50 1: 71-107 (1996)
Herboper, SA. Lima, Peru. Packaging inserts on instuctions of use for Manayupa [Amor Seco] leaves.
Arvigo, Rosita and Balick, Michael 1993. Rainforest Remedies, One Hundred Healing Herbs of Belize. Lotus Press, Twin Lakes, WI.
Cruz, G.L. 1995. Dicionario Das Plantas Uteis Do Brasil, 5th ed., Bertrand: Rio de Janeiro, Brazil
Boye, G & Ampopo, O, 1990. "Plants and Traditional Medicine in Ghana" Economic and Medicinal Plant Research Vol 4, pp 33-34 Academic Press Ltd., Devon, England
Ampofo, O. 1977. Plants That Heal. World Health 1977 : 26-30 (1977)
Addy, M.E., et al., 1984. Effects of the Extracts of Desmodium adscendens on Anaphylaxis. J Ethnopharmacol 11 3: 283-292 (1984)
Addy, M.E., et al., 1989. Effect of Desmodium adscendens Fraction F1 (DAFL) on Tone and Agonist-induced Contractions of Guinea Pig Airway Smooth Muscle. Phytother Res 3 3: 85-90
Addy, M.E., et al., 1987. Effect of Desmodium adscendens Fractions on Antigen- and Arachidonic Acid-induced Contractions of Guinea Pig Airways. Can J Physiol Pharmacol 66 6: 820-825 (1987)
Addy, M.E., et al., 1987. Dose Response Effect of One Subfraction of Desmodium adscendens Aqueous Extract on Antigen- and Arachidonic Acid-induced Contractions of Guinea-pig Airways. Phytother Res 1 4: 180-186 (1987)
Addy, M.E., et al., 1990. Effect of Desmodium adscendens Fraction 3 on Contractions of Respiratory Smooth Muscle. J Ethnopharmacol 29 3: 325-335 (1990)
Addy, M.E., et al., 1986. Dose-response Effects of Desmodium adscendens Aqueous Extract on Histamine Response, Content and Anaphylactic Reactions in the Guinea Pig. J Ethnopharmacol 18 1: 13-20 (1986)
Addy, M.E., et al., 1989. Several Chromatographically Distinct Fractions of Desmodium adscendens Inhibit Smooth Muscle Contractions. Int J Crude Drug Res 27 2: 81-91 (1989)
Addy, M.E., et al., 1995. An Extract of Desmodium adscendens Activates Cyclooxygenase and Increases Prostaglandin Synthesis by Ram Seminal Vesicle Microsomes. Phytother Res 9 4: 287-293 (1995)
Addy, M.E., et al., 1992. Some Secondary Plant Metabolites in Desmodium adscendens and Their Effects on Arachidonic Acid Metabolism. Prostaglandins Leukotrienes Essent Fatty Acids 47 1: 85-91 (1992)

注 : 当ウェブサイトに含まれている情報は、啓発的或いは教育的なところを目的として紹介しているものであり、病状の診断、療法の処方、病気の治療など適切な医療行為の代替としての使用を意図するものではありません。