カムカム(CamuCamu)
カムカム(CamuCamu)

学名:Myrciaria dubia


カムカムは背の低い潅木で、ペルーアマゾン一帯でも特に標高200m付近の湿地や氾濫原、茶色く濁った水の流れる川岸等で良く見ることができます。特に、アマゾンの本流とウンカヤリ、マラニョン、ナポとい言った支流の流域や合流付近、そして水の濁った湖に多く自生していますが、ペルーからブラジルへと標高が低くなって行くにつれ、その数も徐々に減って行きます。
フトモモ科に属しグアバの仲間でもあるカムカムは、高さ2~3m、鳥の羽のような大きな葉と赤い皮にピンク色の果肉を持った丸い実をつけます。アマゾン熱帯雨林の最も新しい発見の一つとして世界的に注目されているのは実の部分で、カムカムの実は地球上に存在する植物の中で最も高いビタミンC源として知られています。オレンジに含まれるビタミンC或いはアスコルビン酸は500~4,000ppm、アセロラは16,000~172,000。一方、カムカムのアスコルビン酸含有量は、21,000~500,000にも及びます(1)。カムカムにはオレンジの30倍のビタミンC、3倍のナイアシン、2倍のリポフラビン、1.5倍の燐が各々含まれています(2)。

ビタミンCの宝庫...

ビタミンCの含有量が多いことから、カムカムの市場は広がりつつあります。アマゾン一帯では未だカムカムの野生栽培が行われていますが、一部ではこの新しい熱帯雨林の重要植物の本格的な栽培に向けての試みが始められています。民族植物学者のMark Plotkinは、「カムカムの自生する森林は、木々を伐採し牧場に置き替えるよりも経済的に2倍の価値がある。」と述べていて、地元経済に大きく貢献する可能性を秘めた果実として見なされています(3)。カムカムの実はアマゾンの雨期に熟するので(12月~3月にかけて収穫期)、カヌーをこぎながら野生のカムカムを採集するというのが通常のやり方です(4)。ペルーアマゾン水上の交通の要所『イキトス』や『プカルパ』ではカムカムの人気は高く、飲料水やアイスクリーム等にも使われています。カムカムの果肉の食品への応用例としては...ゼリー、ジュース、炭酸飲料、シロップ、エッセンス、アイス、シャーベット、マーマレード、リキュール等があります。

【出典】
Duke, J.A., Vasquez, R., 1994. Amazonian Ethnobotanical Directory, CRC Press.
Duke, J.A., Phytochemical Database, Agricultural Research Service, USDA
Plotkin, Mark, 1993, Tales of a Sharman's Appretice, Penguin Books.
Smith, Nigel, et. al., 1992 Tropical Forests and their Crops, Comstock Publishing, New York

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