カツアバ(Catuaba)
カツアバ(Catuaba)

Family (科名)Erythroxylaceae
Genus(属名) Erythroxylum
Spieces(種名) catuaba

使用部位

樹皮

伝統的利用法

樹皮の浸出茶やアルコールチンキがブラジルでは一般的。浸出茶は1日1~3カップ、アルコールチンキは1回2~3mlを1日2回程度との報告がある。

禁忌

報告がありません

薬との相互作用

報告がありません

異名

Catuaba, chuchuhuasha, tatuaba, pau de reposta, caramuru, piratan?ara, angelim-rosa

カツアバは生命力の強い小木で、黄色やオレンジ色の花とダークイエローの小さい楕円形の実(食べることはできない)をつけます。アマゾン川流域、パラ州、ペルナンブスコ州、バイーア州、マランハオ州、アンゴラス州辺りで自生しているのを見ることができます(1)(2)。カトゥアバはコカノキ科に分類されます。コカノキ科にはコカインの原料となる複数の植物がありますが、カツアバには活性コカインアルカロイドは含まれていません(3)。
ブラジルで一般的にCatuaba=カツアバの名前で流通している植物が何種類かあります。通常カツアバというと大きなカツアバと小さなカツアバの2種類があります。小さなカツアバの学名はErythroxylum catuaba A.J.Silva ex. Raym.-Hamet(1936年に認定)。上にある通り、高さは2~4mで黄色とオレンジ色の花を咲かせます。所謂、カツアバはこの種類を指します。大きなカツアバは学名をTrichilia catigua A. Jussと言い、マホガニーの仲間で、高さ6~10m、クリーム色の花を派手に咲かせます。これは一般的には『カティグア』や『アンヘリムロサと』呼ばれています。更これらに加え、3種類の植物がカツアバと呼ばれる場合があります。(この3種には正式な学名は付与されていません)通称ジュニペロス・ブラジリエンシスが小さなカツアバと混同されることがあります。また、アネモパエグマ・ミランダムとエリセカ・カンドレアナもカツアバとして流通している場合がありますが、これらは全く異なる種類の植物です。アネモパエグマはノウゼンカズラ科の蔓性の低木で、長さが40mにもなり、ブラジルでは"カツアバ・ベルダデイラ"(本当のカツアバ)と呼ばれています。ブラジルで薬用ハーブとして民間伝承的に利用され、且つ長年に渡り薬効に関する研究の対象とされてきたのは、最初の大きなカツアバと小さなカツアバです。ブラジルではこれら二種類のカツアバが薬用ハーブとして利用されています。
カツアバは媚薬として民間伝承的に利用されてきた長い歴史があります。カツアバの特質を最初に発見したのは、ブラジルのトゥピ族と言われており、トゥビ族にはカツアバの効能を称賛する数多くの歌が伝承されています(1)。アマゾン先住民から都市部に至るまで多くの人々が代々カツアバを利用してきました。カツアバはブラジル産媚薬ハーブ中でも最も知られた存在の一つです。ブラジルには、『父が60才になって生まれた子供は彼の子供だが、60才を超えてから生まれた子供はカツアバの子供だ』という言い伝えがあるほどです(1)。
カツアバは神経を刺激する作用を持ち、男性のインボテンツ治療に効果があり、悪性の副作用は報告されていません(4)。ブラジルのハーブ医療では、カツアバを媚薬として用い、中枢神経刺激作用があると考えられています。樹皮を煎じたお茶が、インポテンツ、心的動揺、神経質、神経衰弱、健忘症、記憶力の低下、性的能力の虚弱に用いられています(2)。メイラ・ペナ博士は、『カツアバは神経系統の刺激剤として機能し、特に男性のインポテンツの治療に用いる場合にその効果を発揮する....副作用の心配なく利用できる素直な媚薬』であると書いています。ブラジルではカツアバの媚薬効果については『実証済み』と考えられています。インポテンツの治療に加え、不眠症、憂鬱症、気の弱み、中枢神経由来の痛み等の治療に用いられています。
ヨーロッパのハーブ医療でも、カツアバは媚薬効果を持つ脳神経刺激剤と考えられています。カツアバの樹皮を煎じたお茶として用い、性能力衰弱、インポテンツ、神経衰弱、疲労に効果があると考えられています(6)。米国のハーバリストやヘルスプラクティショナの間でもカツアバの効能には定評があり、生殖機能強壮剤、中枢神経刺激剤としてインポテンツや疲労、高血圧に関連した不眠症、心的動揺、記憶力低下に用いられています。イギリスの薬草研究家であるマイケル・バン・ストラッテン氏の ”Guarana The Energy Seeds and Herbs of the Amazon Rainforest” によると、カツアバは媚薬作用を持ち、男性だけでなく、女性にも効果があるとかかれていますが、特に男性インボテンツの治療において数多くの治療結果が報告されていること、長年にわたり使用した後でも副作用が報告された事例がないと書かれています(7)-(10)。
発見されているカツアバ含有の活性成分としては、アルカロイド、タンニン、芳香性オイル類、脂肪性レジン類、フィトステロール、シクロリグナン、セキテルペン、フラボノイド、ステロールがあります。ヨヒンビンアルカロイドの含有があるとブラジル人研究者がカツアバ(どの種類のカツアバを研究対象としたかは不明)にヨヒンビナアルカロイド(催淫性のある成分)の含有があると報告しています(11)(12)。シンコナミン(キナの皮からも得られる成分)が大きいカツアバの樹皮から抽出され、抗バクテリアや細胞毒性について報告があります。今日、カツアバに関する毒性検査結果の報告はありませんが、ブラジルにおける長年に渡る民間伝承的利用の中で毒性や悪性の副作用に関する報告はありません。メイラ・ペナ博士によると、カツアバに関する唯一の副作用は、夜エロティックな夢を見ること、そして性欲が高まることであると。
カトゥアバに関する実験では、抗ウィルス、抗バクテリア作用についてとても興味深い結果が報告されています。1992年に行われたカツアバ(小さいカツアバ)を用いたマウス実験では、大腸菌とブドウ球菌の細胞感染を阻害する機能について指摘しています。また、同じリポートで、カツアバのHIVにカツアバはHIVによる細胞への浸透を阻止することにより、HIVの活動を著しく抑制する作用とHIV感染者に対するカツアバの持つ潜在能力について言しています。(13)。カツアバエキス(大きいカツアバ)に関連するパテントが2002年にブラジル人研究者により米国で申請されています。このパテントは、、ラット、うさぎ、モルモットの実験により、カツアバエキスに血管拡張作用、血管弛緩作用、鎮痛作用があることに由来しています。1977年に発表された研究は、生体内条件でのカツアバの鎮痛作用に関するものです。
カツアバの媚薬効果を裏付ける科学的根拠は発見されていませんが、カツアバの人気は高まり、製品の数も増えつづけています。性欲やリビドーを高める媚薬としてカツアバは男女を問わず根強い人気を持っています。

文献からの引用


HERBS OF THE AMAZON Traditional and Common Uses, Dr. Donna Schwontkowski, Science Student BrainTrust Publishing, 1993

カツアバは男性のリビドーを高めるや神経系の強壮効果があると、ブラジル先住民トゥピ族が伝承する多くの民謡の中で歌い継がれています。伝統的に男性向けの媚薬、男性能力強化剤として、またインボテンツの治療に用いられることもあります。カツアバは強力な神経強壮剤で、疲労回復一般から、安眠効果、高血圧由来の不眠症、記憶力の減退にも効果があります。

Powerful and Unusual Herbs from the Amazon and China, The World Preservation Society, Inc. 1993,1995

カツアバは男性能力強化に素晴らしい効果を発揮します。カツアバは循環を改善し、リビドーエネルギーを上昇させる。神経や脳の刺激興奮剤として知られています。インポテンツの治療に用いることができる。

Traditional Uses of Rainforest Botanicals, John Easterling

カトゥアバの効能
神経強壮、男性能力強化
民間伝承的利用
男性ホルモンの刺激興奮剤として有名なブラジル産の薬草であるカツアバは、インポテンツの治療に用いられている。ブラジルのトゥピ族はカトゥアバの効能を賞賛する多くの民謡を伝承している。興奮剤や男性能力強化剤として知られています。大脳半球を活性化し、虚弱体質や神経性疲労を解消します。カツアバは、男性生殖機能の強壮、神経強壮に活発に機能する。

A Pocket Book of Brazilian Herbs, Antonio Bernardes, Editora e Arta Ltda, 1984

2種類のカトゥアバが存在するが、両方とも同様の効能を持つ。
ブラジルにおける民間伝承的利用 : ミナス州には「60歳までに授かった子供は彼自身の子供、60歳を超えてから授かった子供はカトゥアバの子供」という言い伝えがある。カトゥアバは間違いなくブラジルで最も知名度の高い媚薬系薬草である。
カトゥアバの効能を最初に発見し、その使用を始めたのはブラジルアマゾンの先住民族のトゥピ族であると考えられていて、トゥピ族には今尚カトゥアバの効能を賞賛する多くの民謡が伝承されている。
カトゥアバの樹皮は、神経系統に作用し興奮剤として用いられ、特に男性生殖機能不全に有効で、悪性副作用のない媚薬と考えられている。
カトゥアバはナチュラルな媚薬であり、セクシャルな興奮剤である。カトゥアバの樹皮を煎じたお茶を3~4カップ毎日飲み続けると、最初に体感する症状としてエロチックな夢を見るようになり、その後性欲が増加する。
効能
男性性機能不全、媚薬効果、男性生殖機能の強化

Herbal Treasures from the Amazon, By Dr. Donna Schwontkowski. (A series of three articles published in Healthy & Natural Journal 1994, 1995).

男性性機能不全の治療に伝統的に用いられているブラジルアマゾン産の薬草としては、ムイラプアマ、カツアバ、カジュエイロの3種類が挙げられる。カツアバはインポテンツの治療だけでなく、生殖器官や神経強壮剤として用いられている。疲労回復の効果もある。

The Healing Forest, Schultes, R.E, and Raffauf, R.F. Dioscorides Press, 1990

COCA FARNILYは植物学的には3~4属と260種の高木や低木に分類され、主にアンデスやアマゾン川流域を中心とする熱帯性気候に自生している。アフリカ、東南アジア、オーストラリアの一部の地域に自生している種類もある。
主要な種としてはERYTHROXYLON(カトゥアバが分類されている属)があり、ERYTHROXYLONに分類される幾つかの薬草は、コカインの原料となっている。アンデスや西アマゾンの広い地域では、先住民が葉っぱを用いて興奮剤としている。これはスペイン人の入植よりも前の時代から行われていた利用法である。 ERYTHROXYLACEAEの成分と毒性については、P. Browne著Erythroxylon (Hegnauer, 1981)に記されている。

Discovery Channel Health Article by Chris Kilham

数はそれほど多くありませんが、これらの植物に対する科学的アプローチとしては、複数の学術機関紙や報告会においてその性的強壮剤としての用途をサポートする報告があります。カツアバは、カツアビンA,B,Cと呼ばれる3種類のアルカロイドグループが神経系を刺激し、性機能を強化すると考えられています。ムイラプアマは、ベータシトステロールを含むステロールグループが、有効成分として特定されていて、それらが媚薬効果をもたらすと考えられています。ムイラプアマを使用したある試験では、51%の男性が勃起不全に改善があったと報告し、62%が性衝動(リビドー)の増加を経験しています。
マナウスに滞在した後、ベルニーと私は、イピシュナ族とクリニコル族の先住民と一緒に水上丸太小屋生活をしながら、アマゾン川を下りました。先住民ガイドと共に熱帯雨林に分け入ると、彼は私達にカツアバとムイラプアマの木々が生い茂る場所を複数案内してくれました。カツアバ樹皮の採集現場と地元のバイヤーへ販売されて行く現場に立会いました。そして、多くの先住民がカツアバとムイラプアマの樹皮を束ね室温の水に一晩浸し、翌朝琥珀色になった液体を飲用するのだと学びました。
カツアバとムイラプアマに関し我々が学んだ事とアントニオ・マタスが分け与えてくれた知識を確認するために、ベルニーと私は、アマゾン薬用ハーブに造詣の深い年老いた女性のシャーマンとのインタビューを試みるべく出発しました。それぞれのシャーマンが、ムイラプアマとカツアバには著しい性的元気回復作用があると語って聞かせてくれました。テレセと呼ばれる89歳になる女性シャーマンがアントニオの言葉を伝えてくれました。『カツアバとムイラプアマが一緒になると人々を再び若返らせることができる』と。

クリニカルリファレンス

Manabe H., et.al., Effects of Catuaba extracts on microbial and HIV infection. In Vivo, 6: 2, 1992 Mar-Apr, 161-5
Graf E, et.al., [Alkaloids from Erythroxylum vacciniifolium MARTIUS, II: The structures of catuabine A, B, and C (author's transl)] Arch Pharm (Weinheim), 311: 2, 1978 Feb, 139-52
Agar JT, et.al, Alkaloids of the genus Erythroxylum. Part 1. E. monogynum Roxb. roots. J Chem Soc [Perkin 1], 14, 1976, 1550-8
Graf E., et.al, [Alkaloids from Erythroxylum vaccinifolium Martius,I: Isolation of catuabine A, B, and C (author's transl)] Arch Pharm (Weinheim), 310: 12, 1977 Dec, 1005-10

【出典】
Bernardes, Antonio, 1984 A Pocketbook of Brazilian Herbs, Editora e Arta Ltda. Brazil.
de Almeida, E.R., 1993. Plantas Medicinais Brasileiras, Conhecimentos Populares E Cientificos. Hemus Editora Ltda. Sau Paulo, Brazil.
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Chian Sing, 1979., Cura com Yoga e Plantas Medicinais., Freitas Bastos, Rio de Janeiro, Brazil
Cruz, G.L. 1995. Dicionario Das Plantas Uteis Do Brasil, 5th ed., Rio de Janeiro, Brazil, Bertrand 1995.
Bartram, Thomas., Encyclopedia of Herbal Medicine, 1995. Ed Grace Publishers, Dorset England
Schwontkowski, Dr. Donna, 1993. HERBS OF THE AMAZON, Traditional and Common Uses, Science Student BrainTrust Publishing, Utah.
Easterling, J. 1993 Traditional Uses of Rainforest Botanicals
Dr. Donna Schwontkowski., 1994, 1995. "Herbal Treasures from the Amazon", A series of three articles published in Healthy & Natural Journal 1994, 1995.
Van Straten, Michael, 1994. Guarana The Energy Seeds and Herbs of the Amazon Rainforest, C.W. Daniel Company, Ltd. U.S.
Altman, RF., 1958. A Presenca de Ioimbina na Catuaba, INPA, Ser Quim Publ. 1:1958
Maia, JG, et.al., Estudos Integrados de Plantas da Amazonia, V Simposio de Plantas Medicinais do Brasil, p.7, Sept. 6, 1978, Sao Paulo, Brazil
Manabe, H., et. al., 1992. "Effects of Catuaba Extracts on Microbial and HIV Infection," In Vivo, 6:2, Mar-Apr, 161-5.

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