エルバトスターンはとても生命力の強い雑草のような蔓植物で、長さ70cm位まで成長します。長い根を持ち、黄色と白の花をつけ、多くの熱帯の国々や温暖な気候の地域で比較的簡単に見ることができます。原産地の一つであるブラジルでは、サンパウロ、リオデジャネイロ、ミナスゲライス近郊の道端や森の中に沢山自生しているのを見ることができます。また、インドの温かい気候の地域にも自生しています。
エルバントスターンの民間伝承的利用法...
エルバトスターンの根は、ブラジルとインドのハーブ医療において長年にわたり重要な位置を占めてきました。ブラジルではG.L.CRUZがエルバトスターンのことを、肝臓の不調の治療において並外れた効能を持ち、とても重要な薬用植物であると書いています。利尿剤として、そして黄疸や肝炎も含むすべての肝臓疾患や胆嚢痛や胆石、尿道や腎臓の不調、膀胱炎に利用されています。
一方、インドではプナルナバ(punar-nava / punarnava)と呼ばれていて、アーユルヴェーダや自然療法やハーブ医療において、或いは民間伝承薬として先住民の人々が長年利用してきた歴史があります。主にエルバトスタオの根が、肝臓、胆嚢、腎臓そして泌尿器系の不調など多くの用途において利用されています(1)~(6)。
熱帯の国々ではギニア虫という、人や家畜の皮膚の下に卵を産みつけ、それがかえると細胞を喰う、やっかいな熱帯の寄生虫が人々を困られていますが、エルバトスターンはギニア虫に対する強力な自然治療薬として知られています。通常、沸騰したお湯で根を柔らかくしてから、メッシュで瀘して、湿布のように直接患部につけることによりこの寄生虫を退治します。
エルバントスターンの利尿作用
エルバトスターンの利尿作用については、長年に渡り多くの研究対象とされてきていて、その効能メカニズムや様々な肝臓や泌尿器系の不調等に対し先住民がエルバトスターンの蔓を利用してきた事実については科学的な裏付けを取る形で十分に説明されています。
例えば、1950年代の中頃に行われたA. Chowdhuryらによる複数の実験では、100mg/kg~300mg/kgという少量を服用した場合には強い利尿作用を引き起こす一方、300mg/kg以上の服用では反対の効果、即ち尿の量が減少することが確認されています(7)。
引き続き行われた研究では、エルバトスターンの利尿作用とともに抗利尿性の裏付けが取られ、更にエルバトスターンの根が持つ肝臓に良い効果が動物や人体において実証されていきました(5)~(10)。根から抽出したエキスに関するリサーチでは、1kgの体重あたり10mgのエルバトスターンを服用した場合、24時間以内に尿の量が100%増加することが示されています(5)。
エルバントスターンの肝臓保護特性
エルバトスターンの根から抽出されたエキスが持つ抗肝細胞毒特性については、1980年と1991年にJ.P.MishraとB.K.Chandanにより行われた動物実験において、様々な毒素からエルバトスターンの根のエキスが肝臓を保護するという興味深い結果が得られています。これらの実験結果が、様々な肝臓に関する不調や不定愁訴においてエルバトスターンの根が世界レベルで利用されていることの裏付けとなっています。
1984年のS. Ramabhimaiahによるカエルやモルモットを使った実験では、根のエキスに平滑筋や骨格筋肉の刺激作用があることが(14)、血圧降下作用については、1995年に試験管内の実験において、1984年に犬を使った動物実験で実証されています(15)。
また、痙攣抑制作用については、カエルとモルモットにおいて(12)(14)、抗アメーバ作用についてはネズミの実験で(15)、サルを使った実験では止血作用があること確認されています(16)。
癲癇やひきつけに対するエルバトスターンの民間伝承的利用法については、2つの実験により実証されていて、それによるとハツカネズミに根のエキスを投与したところ痙攣抑制効果が見とめられたことが報告されています(17)(18)。
エルバトスターンの根のエキスを使った試験管内実験では、淋病(20)や抗線虫(21)を含む抗菌特性や、複数のウィルス性植物病原体に対する抗ウィルス特性が実証されています。
このようにエルバトスターンが長年に渡り様々な用途で利用されてきたことを実証する多くの臨床実験例があることから、エルバトスターンはハーブ医療実践者の常備薬として重要な役割を担ってきましたし、これからもエルバトスターンはより多くの機会で有益に利用されるべき重要かつ効果的な熱帯性の薬用植物です。
健康維持の為には、錠剤やカプセルの場合は1日1~2g、標準的な煎じ茶の場合は、1日1~2カップの服用が目安となります。
【出典】
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