イポルルとは
イポルルは、ペルーアマゾンでも標高が低く、 頻繁に洪水が発生する低地に生息している、木本性の低木です。雨季には水中に埋もれてしまうので、収穫は 乾季にのみ行うことができます(1)。樹皮に含まれている活性化学成分も乾季にのみ存在していいて、雨季には見られません(1)。
イポルルは、トウダイグサ科に分類されますが、トウダイグサ科には5000種類を越える 高木や潅木そしてハーブなどの薬用植物が分類されています(2)。トウダイグサ科の植物は、食用や薬用、そしてゴム、 オイル、染料等々有効な利用方法が多岐に渡ることから、経済的価値が高いとされています(2)。
ペルーアマゾンでのイポルルの利用法
アマゾンに住む先住民によるイポルルの利用法は多岐に渡っており、その調製方法も様々です。その中でも代表的なのが、イポルルをアルコールに浸し、リューマチ、関節炎、風邪、 筋肉痛などに効く健康酒とする方法があります(3)。
ペルーアマゾンで特に知られているイポルルの効能として、骨関節炎の症状緩和や関節の稼動範囲を広げ、動きをスムースにする効果があります(4)(5)。
カンドチ・シャプラ族とシポビ族では、リューマチの治療のためにイポルルの樹皮と根の両方が用いられています(3)。
ディクナ族では、下痢の予防効果があるとして、食前にティースプーン一杯分の樹皮の煎じ汁が飲まれています(2)。
ペルーアマゾンの中でも限定的な利用ですが、痛み止めとして利用しているペルーアマゾンの先住民もいます。具体的には、磨り潰した葉を直接痛みのある関節に擦り込んだり、或いはペースト状にしたイポルルを直接患部に直接塗り、鎮痛剤 とします(2)。
ペルーの地方都市では、イポルル関連の治療薬や製品が販売されているのを良く目にしますが、特に ハーブ医療ではリューマチでの利用に高く推奨されるています(6)。ペルーアマゾンの主要都市プカルパでは、関節炎に加え、イポルルの葉の煎じ薬が咳やリューマチに用いられています(7)。また、 ペルー北部に位置するピウラ近郊では、女性の受胎能力を促進する目的でイポルルの葉が利用されています(7)。一方、男性用の媚薬として、或いはや強壮剤としても利用する場合もあります(8)。
イポルルに関する研究
北米では特にが持つ筋肉や関節に関連する効能が注目され、運動選手や自然療法士の間でイポルルの人気が高まりつつあります。また、関節炎や関節の痛み止めとして、イポルルに含まれている鎮痛効果や抗炎症作用をもたらす成分に注目が集まっています(9)。
アルゼンチンで行われたある研究では、鎮痛成分や抗炎症成分に加えイポルルのエッセンスに抗バクテリア作用がある ことが発見され、ペニシリンGに抵抗力を持ってしまった黄色ブドウ球菌株、大腸菌、コウジカビ族に対し有効で あることも確認されています。イポルルの抗炎症特性ですが、これは樹皮に含まれるアルコルネインを含む アルカロイドのグループによるものであることが判っています(10)。
イポルルの服用方法
今日のペルーにおけるハーブ医療では、男性性不能症の場合、乾燥したイポルルの葉1カップを500CCの水に浸した浸出液を、1日1/2カップ、糖尿病の場合は、1.5カップ の乾燥したイポルルの葉を、1リットルの水に浸し、食後に1カップづつ毎日服用します(12)。
【出典】
Schwontkowski, Dr. Donna, 1993. HERBS OF THE AMAZON, Traditional and Common Uses, Science Student BrainTrust Publishing, Utah.
Schultes, R.E., and Raffauf, 1990. The Healing Forest. Medicinal and Toxic Plants of the Northwest Amazonia, R.F. Dioscorides Press, 1990.
Duke, James and Vasquez, Rudolfo, 1994 Amazonian Ethnobotanical Dictionary, CRC Press Inc., Boca Raton, FL
Easterling, J. 1993 Traditional Uses of Rainforest Botanicals
Powerful and Unusual Herbs from the Amazon and China, 1993. The World Preservation Society, Inc.
Vasquez M., R. 1990. Useful Plants of Amazonian Peru. Spanish typescript. Second Draft. Filed with USDA's National Agriculture Library.
de Feo, V. 1992. Medicinal and magical plants in the northern Peruvian Andes. Fitoterapia 63: 417-440.
Rutter, R.A. 1990 Catalogo de Plantas Utiles de la Amazonia Peruana. Instituto Linguistico de Verano. Yarinacocha, Peru. 349.
Schwontkowski, D. "Herbal Treasures from the Amazon", (A series of three articles published in Healthy & Natural Journal 1994, 1995)
Anesini, C. and Perez, C. "Screening of plants used in Argentine folk medicine for antimicrobial activity." Catedra de Farmacologia, Facultad de Odontologia, Universidad de Buenos Aires, Argentina. J Ethnopharmacol 39: 119-28 (1993)
Ogungbamila FO, et.al., Smooth muscle relaxing flavonoids from Alchornea cordifolia. Acta Pharm Nord, 2: 6, 1990, 421-2
Herboper, SA. Lima, Peru. Packing inserts on instuctions of use for Iporuru.
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