ムリャカは、アマゾンを含む多くの熱帯気候地帯に自生する一年生植物です。アフリカ、アジア、アメリカ大陸のを含むほとんどの熱帯の地域に見ることができます。高さは1m程度で、クリーム色の小さい花と一部でシマホオズキの名前で親しまれている食用にもできる黄色がかったオレンジ色の実を付けます。
アマゾン熱帯雨林におけるムリャカの伝統的利用法
ムリャカは、それが自生する南の国々の自然医療において長年利用されてきています。アマゾン熱帯雨林の原住民によるムリャカの利用については良く記録されていて、その甘酸っぱい実は食用として熱帯雨林の住人(動物も人間も)に好まれています。
アマゾンの先住民部族では、ムリャカの葉を煎じて利尿効果のある薬用茶とします。コロンビアのある原住民の部族では、ムリャカの実と葉には麻酔性があると信じられていて、それらを煎じて抗炎症作用や皮膚病際の殺菌・消毒として用いられていたり、葉を煎じたお茶を喘息に使う場合もあります。
ペルーアマゾンに住むインディヘナの人々は、葉を絞ったジュースを体内外の寄生虫に使ったり、葉或いは根(或いは両方)を耳痛、肝臓障害、マラリア、肝臓、リューマチに用いています。ブラジルアマゾンでは樹液が耳痛に、根が黄疸の治療に利用されています。
ペルーとブラジルのハーブ医療におけるムリャカの利用法
ムリャカは、ペルー、ブラジル両国のハーブ医療に積極的に取り入れられています。
ペルーのハーブ医療では、ムリャカ或いはボルサムリャカと呼ばれていて、ムリャカ3本分の根を薄く切って、250ccのラム酒に7日間付込んだ薬用酒が糖尿病に治療に利用されています。口当たりをよくするためにハチミツが加えられる場合もあって、グラス半分の薬用酒を1日2回、60日間飲み続けます。更にムリャカの葉の煎じ汁は利尿剤として、根を煎じたものは肝炎の治療などに推奨されています。喘息やマラリアの場合、ムリャカの根以外の部分で作ったお茶を1カップ服用します。
ブラジルのハーブ医療では『カマプ』と呼ばれていて、慢性リューマチ、皮膚病や皮膚の炎症、鎮静剤、利尿剤、熱や吐き気、多くの種類の腎臓障害や胆嚢障害に利用されています。
ムリャカの抗ウィルス特性や免疫激励特性に関する研究
ムリャカに関する植物科学的研究によると、ムリャカには、フラボノイド、アルカロイドそして多くの種類の植物ステロイドが含まれていることが明らかにされています(1)-(6)。こういった免疫激励性のある植物化学が含まれているとの研究結果に基づいて、ムリャカに関する臨床リサーチは今尚続けられていて、様々な癌細胞に対する細胞毒性やHIVも含めた抗ウィルス性があることが判ってきています。
これまでに記録されているムリャカの特性や効能の要因であると考えられている新しいステロイドの含有が発見され、注目を集めています。幾つかの動物実験や研究室における生体条件外での実験において、ムリャカ全体から抽出したエッセンスと(或いは)そのステロイド成分には、小リンパ球が芽細胞様の大細胞への変換するのを強力に助長することにより起こる免疫激励特性や抗体反応、T, B リンパ球の生産を増加させるといった特性を持っていることが実証されています(7)。
水性やエタノール、アルコールといった様々な媒体により抽出したムリャカのエッセンスとその植物ステロイドは、ネズミを使った動物実験や生体条件外での実験において、白血病、肺、頚部、大腸、黒色腫を含む様々な種類の癌細胞に対し、細胞毒作用を持つことが明らかにされています(8)-(10)。
また、ある日本の研究グループがムリャカの抗ウィルス特性に着目し行われた予備的研究において、反転写酵素抑制作用が確認され、ポリオウィルスⅠ(小児麻痺)とHIVⅠに対し生体条件外でムリャカが有効であることが実証されています(11)-(14)。
こういった作用に加え、モルモットを使った実験において痙攣抑制作用が、猫の実験での血圧抑制効果、ひき蛙の実験での緊張筋肉収縮特性、生体条件外での抗凝血作用、といった具合にムリャカは、生体外において様々な種類のバクテリアに抗する特性を持つことが実証されています(15)-(19)。
しかしながら、こうした一連の臨床研究は、インディヘナの人々により伝承されてきた民間医療におけるムリャカの効能の多くを無視した形で進められてきており、よってこれまでハーブ医療において記録されてきた有効な利用方法の一部は未だ科学的には説明されていません。既に実証されているムリャカの抗ウィルス特性は、消毒剤や皮膚病や皮膚の感染症に対する殺菌、そして淋病の治療でのムリャカの使用が有効であると説明することができるでしょう。また、ムリャカの肝炎に対する使用について具体的な調査や研究はなされていませんが、その抗ウィルス特性は肝炎に対する歴史的にみとめられてきたムリャカの効能について十分に説明することができるでしょう。そして痙攣抑制効果や筋肉収縮作用は、ムリャカが喘息の治療に広く利用されてきていることを説明することができるでしょう。しかしながら、熱帯雨林におけるマラリアや糖尿病に対する使用については未だ科学的に明らかにされていません。
【出典】
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