ヘルゴンサッチャ(JERGON SACHA)
パタデバカ(PATA DE VACA)

パタデバカは高さ5~6m程度の小さな木で、 ハカマカズラ属の植物に共通した特徴である牛のひずめの様に先別れした大きな葉を持ち、うな垂れた白い大きな花とオジギソウの様な茶色の莢を付けます。アマゾン熱帯雨林やペルー、ブラジル、東部パラグアイ、北部アルゼンチンの熱帯気候地域の他にアジアの熱帯地域でも見ることができ、リオデジャネイロやブラジル南部の大西洋側の熱帯雨林一帯に特に大多く見ることができます。

ブラジルのハーブ医療におけるパタデバカの利用法

原住民の人々によるパタデバカの利用法についてはあまり良く記録されていませんが、ブラジルのハーブ医療においては長い利用の歴史があります。血糖値低下、浄血、利尿等の効能があると言われていて、特に60年以上に渡り糖尿病で血糖値を整える為に利用されている実績があります(1)。
浄血剤としての評価も高く、パタデバカの煎じ汁が像皮病や毒蛇にかまれた時や淋病が原因の皮膚の疾患などに、内服薬或いは外用薬として用いられています(1)。
ブラジルではハーブ医療において、糖尿病の治療薬としての評価は既に確立されていて、ペドラウメカと共に『植物性インシュリン』と呼ばれるています(2)。
南米各国でも、血糖値の調整、多尿症、腎臓の不調、その他の泌尿器系の疾患など、糖尿病により引き起こされる合併症の改善に広く使われています(2)(3)。
南米各国の薬局の商品棚にパタデバカのティーバッグが必ず置いてあって、パタデバカの葉を浸出させたお茶を1日3回食後に服用するのが、血糖値を調整する為に通常取られる方法です(4)。

パタデバカに関する研究

パタデバカの血糖値低下作用については、1929年の臨床研究ではじめてリポートされ、次いで1931年にはC. Julianeによるリポートが発表されています(5)(6)。
1945年には、血糖値低下作用の要因となる活性成分を特定 しようと試みた研究が発表されています(7)。
パタデバカはハーブティーという簡単な方法が 糖尿病の治療方法として定着していた為、特許に関係しない治療薬という認識から、以降暫くの間、研究の対象とされることはありませんでしたが、1980年代の中頃ハーブ医療に再び注目が集まると、パタデバカの糖尿病に対する作用が2つの研究で再び取り上げられています8)(9)。
現在でも南米ではパタデバカは糖尿病の自然治療薬として人気があります。糖尿病の治療としては、1日3回食後にパタデバカ の葉を浸出させたお茶を服用するのが標準的な方法ですが、ペドラウメカと混ぜて飲まれることがしばしばあります。 北米の自然療法士やハーブ研究家は、糖尿病、過血糖症、多尿症の治療でパタデバカを用いています(10)(11)。

【出典】
de Almeida, E.R., 1993. Plantas Medicinais Brasileiras, Conhecimentos Populares E Cientificos. Hemus Editora Ltda.: Sau Paulo, Brazil.
Cruz, G.L. 1995. Dicionario Das Plantas Uteis Do Brasil, 5th ed., Bertrand: Rio de Janeiro, Brazil
Bernardes, Antonio, 1984 A Pocketbook of Brazilian Herbs, A Shogun Editora e Arta Ltda: Rio de Janeiro, Brazil.
Herboper, SA., 1997. Package inserts and instructions for use for packaged medicinal plants sold by Herboper, SA., Lima, Peru.
Juliane, C., 1929. Acao Hipoglicemiante da Unha-de-Vaca, Rev. Med. Pharm. Chim. Phys. Vol. 2(1) 165-69.
Juliane, C., 1931. Acao Hipoglicemiante de "Bauhinia forficata", Link, Novos Estudos Experimentails, Rev. Sudam Endocrin. Immol. Quimiot. Vol 14: pp. 326-34
Costa, O.A., 1945. Estudo Farmacoquimico da Unha-de-Vaca, Rev Flora Medicinal Vol. 9 (4) 175-89.
Almeida, R. & Agra, M.F. 1984. Levantamento da Flora Medicinal de Uso no Tratamento da Diabete e Alguns Resultados Experimentais, VIII Simposio de Plantas Medicinais do Brasil, p. 23, September 4-6, 1984, Manaus-AM, Brazil.
Miyake, E.T., et.al., 1986. Caracterizacao Farmacognostica de Pata-de-Vaca (Bauhinia fortificata), Rev Bras Farmacogn Vol 1 (1) pp 56-68.
Schwontkowski, Dr. Donna, 1993. HERBS OF THE AMAZON, Traditional and Common Uses,Science Student BrainTrust Publishing, Utah.
Easterling, J. 1993. Traditional Uses of Rainforest Botanicals
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