ヘルゴンサッチャ(JERGON SACHA)
ペドラウメカ(PEDRA HUME CAA)

ぺドラウメカは中型の潅木で、アマゾンでも比較的乾燥している地域やアマゾン以外のブラジルでも見ることができます。小さな緑色の葉と大きく美しい赤味がかったオレンジ色の花が特徴的です。フトモモ科の仲間で南米や西インド諸島原産のハーブです。

ペドラウメカと糖尿病

熱帯雨林に住む先住民は糖尿病や下痢、赤痢などに用いられています(1)(2)。
アマゾンの北西部に住むタイワノ族は、ペドラウメカの葉には収斂作用を促す効果があることから、慢性の下痢に用いています(1)。
ブラジルの伝統医療でも長年に渡り利用され続けている薬草ブです。ブラジルの自然療法士の権威でもありハーブ研究家でもあるDr. G.L.Cruzは、1965年発行の著書 『Livro Verde das Plantas Medicinaise Industrialis do Brasil』の中でペドラウメカを『植物性インシュリン』と呼び、多くのハーブの専門家の意見として、ペドラウメカの全体の浸出液、煎じ汁、エキスが糖尿病に用いられていること、ペドラウメカを定期的に飲用すると短期間で尿から糖分が減少するなど即効性があることについて記しています(3)。
Dr. Cruzの著書が出版されてから30年以上経過した現在でも、ブラジルではペドラウメカの糖尿病に対する効果や用法について、伝統医療と同様の手法により記録し続けています(4)(5)。
南米各国においても、ペドラウメカは人気の高い糖尿病向けの薬草としての位置を占め続けています。ペドラウメカの葉を煎じたお茶にステビアなど若干の自然甘味料による甘みを加えた薬湯が最も一般的な糖尿病の治療薬で(6)、これは下痢、高血圧、腸炎、出血、口内の潰瘍にも有効と考えられています(7)。
治療学的には標準的な煎じ汁を1日1~3カップ、食事中に服用する方法が推奨されています。

ペドラウメカと糖尿病に関する研究

1929年~1978年にかけてブラジルで行われたペドラウメカの血糖値低下作用について研究により、その有効性が実証されていますが、近年発表された2つの臨床研究によりその血糖値低下作用が再び確認されています(8-11)。
1990年のタイプⅡ糖尿病患者に対する臨床研究では、ペドラウメカによりプラズマインスリンレベルが低下する効果が実証されています(12)。
1993年に行われたネズミを使った実験では過血糖症、多食症、煩渇多飲症、尿の量、尿排出の中のブドウ糖、尿素を減らす作用がペドラウメカにあることが判っています(13)。この研究では、ペドラウメカの水性エッセンスは、主にブドウ糖の平衡維持力の代謝要素を向上させることにより、糖尿状態において良性の効果がある、と締めくくって います。

クリニカルリファレンス


・自然薬の抗糖尿原理II ブラジル産自然薬ペドラウメカ(Myrica multiflora DC)のアルドースリダクテース、アルファグルコシダーゼ抑制活動 : ミルシアトリンI,IIとミルシアフェノンA,Bの構造
・Antidiabetic principles of natural medicines. II. Aldose reductase and alpha-glucosidase inhibitors from Brazilian natural medicine, the leaves of Myrcia multiflora DC. (Myrtaceae): structures of myrciacitrins I and II and myrciaphenones A and B.
・Yoshikawa M, Shimada H, Nishida N, Li Y, Toguchida I, Yamahara J, Matsuda HKyoto Pharmaceutical University, Japan.

ブラジル原産ハーブ、ペドラウメカ(学名 Myrcia multiflora DC)は糖尿病に効果があるとして利用されてきている実績があるが、白糖を試験的に与えたラットとアロキサン糖尿病のマウスを用い実験を行ったところ、アルドースリダクテースとアルファグルコシダーゼや血清ブドウ糖レベルの上昇において、ペドラウメカのメタノールエキスとエチルアセテート溶解性の部分が抑制活動を示すことが判明した。
ペドラウメカのエチルアセテート溶解性の部分からは、5フラボノールグリコシド、ミリシトリン、メアルンシドリン、ケルシトリン、デスマシン1、グアイジュベンと言った既知の成分と共に新フラバノングルコシド、ミルシアシロリンI,II、新アセフェノングルコシド、ミルシアフェノンA,Bといった新しい複合体が分離された。これら新種の複合体の構造は、物理化学的或いは化学的検証より決定している。
新グリコシド、ミルシアシトリンI、ミルシアフェノンBを含むペドラウメカの主要成分は、アルドースリダクテースやアルファグルコシダーゼに対する強力な抑制因子であることが判明した。
ステロプトゾトシン糖尿病ラットにおけるMyrcia unifloraエキスの抗糖尿作用の評価

・Assessment of the antidiabetic activity of Myrcia uniflora extracts in streptozotocin diabetic rats.
・Pepato MT, Oliveira JR, Kettelhut IC, Migliorini RH

Department of Biochemistry, School of Medicine, University of Sao Paulo, Ribeirao Preto, Brazil.
ブラジル北部において糖尿病治療に一般的に使用されている植物であるところのMyricia unifloraの葉の水溶性エキスを用いたストレプトゾトシン糖尿病ラットの治療において、いくつかの代謝要因を用い、その糖尿状態の進行の決定付けを行った。また、高たんぱく質で糖質のない食餌療法に適応させたラットを用い、腸におけるブドウ糖吸収やその糖尿状態の進行に対しエキスがどのように作用するかについても調査した。
実験に用いたラットには、予め沸騰させた水により透水し製造した7.5mgの凍結乾燥粉末(60mgの葉相当)を1日2回づつ3週間にわたり胃管栄養により与えた。
飼料によるバランスのとれた食餌を与えた糖尿のラットに対する治療では、体重に対する影響は無かったが、過血糖症、多食症、多飲多渇症、尿の量、尿に含まれる尿素とブドウ糖の排出量の減少が見られた。
3週間にわたるMyrciaの投与では、副睾丸と腹膜後脂肪細胞、或いはパンクレアチンやインシュリン血清の濃度に対しては影響が無かった。
ブドウ糖の腸における吸収は、自然位での還流方を用い計測した結果、Myrcia(7.5mgの凍結乾燥粉末)により著しく抑制されていることが判った。
糖質のない食餌療法に適応させた糖尿のラットに対するMyrcia治療では、飼料による食餌を与え続けたラットと類似する結果が得られた。
実験データによると、Myricaの水溶性エキスは、主にブドウ糖の恒常性の代謝特質の改善により糖尿状態に対し好影響を与えることがわかる。

・糖尿病患者におけるMyricia unifloraとBeuhinia forficataの葉から抽出したエキスの臨床実験
・Clinical trial of Myrcia uniflora and Bauhinia forficata leaf extracts in normal and diabetic patients.
・Russo EM, Reichelt AA, De-Sa JR, Furlanetto RP, Moises RC, Kasamatsu TS, Chacra AR Disciplina de Endocrinologia, Escola Paulista de Medicina, Sao Paulo, Brasil.

Myrcia unifloraとBauhinia forficataの血糖降下作用についてプラシーボ(偽薬)を使って比較した。無作為に抽出した正常な人間20名を10名づつ2つのグループに分け、片方のグループにはMyrcia unifloraを、もう一つのグループにはB.forficataを投与。更に無作為に抽出した34名のタイプII糖尿病患者を2つのグループに分け、18名で構成される一つのグループにはMyrcia unifloraを、16名で構成されるもう一方のグループにはB.forficataを投与。テスト実施期間は56日。
Myrcia unifloraとBauhinia forficata共に一日あたり3gの葉から作った浸出液の経口摂取を続けた後の検査では、血漿ブドウ糖のレベル或いはグリケイテッドヘモグロビンに対する急性或いは慢性の効果については、いずれのグループでも見とめられなかったが、糖尿病グループでは血漿インシュリンのレベルは、M.unifloraを投与したケースの方がプラシーボとの比較において低い値を示した。
その他の臨床試験項目では、アルカリ土類燐酸塩レベルがM.unifloraの投与が行われた通常グループにおいてプラシーボの場合と統計的に比較した時に、その値が著しく異なっているのが見られた。

【出典】
Schultes, R.E., and Raffauf, 1990. The Healing Forest. Medicinal and Toxic Plants of the Northwest Amazonia, R.F. Dioscorides Press: Portland Oregon.(1)
Taylor, Leslie. 1997, 1996. Personal field notes with Curandero Jose Guerra Cabrerra near the village of Tam Hisaco. September, 1997 and with Curandero Antonio Montero at ACEER, Peru, August, 1996 (6)
Cruz, G.L., 1965. Livro Verdes das Plantas Medicinais e Industriais do Brasil, 1st ed., 2nd Volume, Belo Horizonte: Rio de Janeiro, Brazil (229)
Cruz, G.L. 1995. Dicionario Das Plantas Uteis Do Brasil, 5th ed., Bertrand: Rio de Janeiro, Brazil (9)
Coimbra, Raul, 1994. Manual de Fitoterapia 2nd Ed., Editora Cejup., Belem, Brazil.(28)
Bernardes, Antonio, 1984 A Pocketbook of Brazilian Herbs, A Shogun Editora e Arta Ltda: Rio de Janeiro, Brazil.
de Almeida, E.R., 1993. Plantas Medicinais Brasileiras, Conhecimentos Populares E Cientificos. Hemus Editora Ltda.: Sau Paulo, Brazil. (74)
Martins de Toledo, O., 1929. Tese de Doutoramento, Faculdade de Medicina de Sao Paulo. Sao Paulo, Brazil.
Coutinho, A.B 1938. Tese de Catedra, Faculdade de Medicina de Recife. Recife, Brazil.
Mendes dos Reis Arruda, L., et.al., 1878. Efeito Hipoglicemiante Induzido pelo Extracto das Raizes de "Myrcia citrifolia" (Pedra-Ume-Caa), Esudo Famacologico Preliminar, V Simposio de Plantas Medicinais do Brasil, p. 74, Sept 4-6 1978 Sao Paulo-SP, Brazil.
Brune, U., et.al., 1978. "Myrcia spaerocarpa, D.C., Planta Diabetica," V Simposio de Plantas Medicinais do Brasil, p. 74, Sept 4-6 1978 Sao Paulo-SP, Brazil.
Russo EM, et al. Clinical trial of Myrcia uniflora and Bauhinia forficata leaf extracts in normal and diabetic patients. Braz J Med Biol Res, 1990
Pepato MT, et al. Assessment of the antidiabetic activity of Myrcia uniflora extracts in streptozotocin diabetic rats. Diabetes Res, 1993
.

注 : 当ウェブサイトに含まれている情報は、啓発的或いは教育的なところを目的として紹介しているものであり、病状の診断、療法の処方、病気の治療など適切な医療行為の代替としての使用を意図するものではありません。