ピカオ・プレト(Picao Preto)
ピカオ・プレト(Picao Preto)

ピカオプレトは、高さ1m程度のとても小さな潅木で、 直立した一年性の薬草です。鮮やかな緑色をした葉は鋸状に端がとげとげしていて、黄色い小さな花を付けます。 南米やアフリカの熱帯地帯やカリブ諸島、フィリピン諸島に自生しています。

ピカオプレトの伝統的利用方法

アマゾンの先住民によるピカオプレトの利用には長い歴史があり、事実上この植物のすべての部位を薬用に利用することができます。
ペルーアマゾンでは、アンギナ、糖尿病、赤痢、月経困難、浮腫、肝炎、黄疸、喉頭炎の治療や虫下し としえ利用されています(1)。
ペルー北部にあるピウラという都市では、ピカオプレトの根の煎じ薬がアルコールが原因の肝炎や虫下しに良いとされています(2)。クナ族では潰した葉を水と混ぜて、頭痛薬としています(3)。また、プカルパ近辺ではピカオプレトの葉を潰して歯痛の部分につけたり、また頭痛に用いられる場合もあります(4)。
アマゾンの他の地域では煎じ汁をレモンジュースと混ぜて、アンギナ、喉の痛み、水のたまり、肝炎、水症などに利用しています(4)。
エクスマ族では、日向で乾燥させた葉をオリーブオイルと混ぜて腫れ物やかき傷の湿布にしたり、トンガでは、花の浸出液 が食中りで弱った胃に良いと考えられています(4)。
植物学者のJames Dukeの研究によると、アンギナや口の中のできものには、 ピカオプレトをガムのように噛んだり、浸出液でうがいをするのが良く、また浸出液には月経促進作用、下痢止め、 寒けや冷えの緩和作用があると書いています(4)。
ブラジルのインディヘナの人々の間では利尿剤や黄疸の治療にも用いられて います(4)。

南米各国のハーブ医療におけるピカオプレトの利用法

今日、ペルーのハーブ医療ではピカオプレトは、アモールセコ或いはカディージョの名前で知られています。利尿、抗炎症、肝臓保護といった特性があると考えられていて、一般的に知られている用途としては、肝炎、結膜炎、膿瘍、たむし等の真菌症、泌尿器の感染症やダイエット補助、出産補助などがあります(5)。
一方、ブラジルハーブ医療ではピカオプレト 或いはクアンブの名前で呼ばれていて、皮膚軟化効果や収斂性、利尿作用があると考えられていて、熱、黄疸、糖尿病、喉の痛み、扁桃炎、肝臓の閉塞症やその他の肝臓関連の疾患、泌尿器の感染症、膣の感染症などが主な用途となっています(6-8)。
治療学的には1日4~5gの服用が良いと報告されています。

ピカオプレトの活性成分と臨床データ

近年行われた様々な臨床研究の結果、ハーブ医療における伝統的な ピカオプレトの用途の多くは科学的に説明することができるようになっています。
1997年の研究では、ピカオプレトがグラム陽性バクテリアに対し抗菌作用を持つことが実証されています(9)。
1996年の研究では、ピカオプレトに発見された新しい活性植物化学成分が、通常の或いは形質転換した人体の細胞列に対し成長促進作用を示ることがわかっています(10)。
また、ピカオプレトのエキスがプロスタグラジン統合作用(頭痛や炎症関連の疾病に関係するプロセス)を抑制することが1996年の研究で明らかにされています(11)。
これに関連し台湾の研究グループは、ピカオプレトの肝臓保護作用に関する研究を発表していて、『B pilosus』は様々な肝細胞毒から肝臓を守ることができると報告しています(12)。
この台湾の研究グループは、1995年の研究でピカオプレトの著しい抗炎症作用を持っていることを臨床的に実証しています(13)。
1991年にはスイスの科学者が、ピカオプレトから抗菌や抗炎症作用があると して知られているいくつかの植物化学成分を分離することに成功し、傷薬、炎症、胃腸のバクテリア感染症の治療等、ピカオプレトの民間伝承的利用法の正当性が明らかになりつつあります(14)。
同じ年エジプトの科学者により『B pilosa』の抗菌作用についての研究が発表されており(15)、1979年と 1980年にはピカオプレトに発見されたある特定の化学物質が、バクテリアや真菌に対して光毒性があることが実証されています(16)(17)。

【出典】
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