キヌア(Quinua)
キヌア(Quinua)

キヌアとは
学名 : Chenopodinm Quinoa Willdenow
ホウレンソウと同じアカザ科、アカザ属に分類される一年草。80~150cmの茎は先端で枝別れし、直径2~3mmの種子が密集して生り、この種子を脱穀したものが食用として供される。原産地はチチカカ湖周辺で、ペルー、ボリビア、エクアドル、チリ北部の標高2500~4000mのアンデス山系で栽培されている。栽培の歴史は古く紀元前3000~5000年まで遡ると言う。古代インカ帝国皇帝が栽培を推奨したキヌアスイートと呼ばれる種が、アミノ酸の含有率が高く、味香りの風味も良い。ペルー国内での年間生産高は150~160トン。主要産地は、フニン県マンタロ渓谷(3300mの高地)付近、クスコ県、プーノ県、アレキパ県など。収穫期は5~8月(生産地により異なる)。雨季に入る10月前より種がまかれ、翌年の5月頃に収穫される。

NASAも注目する高い栄養価
キヌアの栄養価は極めて高く、白米との比較では、2倍のタンパク質、6倍の食物繊維、9倍の鉄分、6倍のカルシウムを誇る。その並外れた栄養価に注目したNASA(米国航空宇宙局)がキヌアを宇宙食候補として検討を始め、1993年と1996年にその成果を発表している。NASAがキヌアを「21世紀の主要食」と形容したのを切っ掛けに、欧米諸国でも自然・健康食品として注目されるようになる。

キヌア(Quinua)
キヌア(Quinua)

バランスの取れた栄養成分

キヌアを米、小麦、大麦などの穀物と比較してみると、タンパク質は2倍~やや多い傾向を示す。更に、脂質は1.5~3倍、食物繊維は2~10倍、灰分は2~8倍。一方、デンプンなどの糖質は3/4程度の含有で、全体的に極めてバランスの取れた一般栄養成分を持つことが分かる。
キヌアの特徴として、アミノ酸バランスの良さも挙げられる。必須アミノ酸組成は下表に示す通り、キヌアには必須アミノ酸すべてがバランス良く含有されている。
また、キヌアはミネラルとビタミンの優れた供給源でもある。特に、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄は、白米、小麦、大麦などの穀類の3~10倍の含有を誇る。ビタミンもE, B1, B2, ナイアシンを比較的多く含む
キヌアの果皮には、血中や肝臓コレステロール低下作用があるのと苦み成分サポニンが含まれている。(一般には果皮を取り除いた精白粒が用いられる)また、カビの発生を抑える抗真菌活性物質の存在も認められている。

アンデスでの伝統的調理法

アンデス地方ではキヌアの粒が粥として、或いは肉、ジャガイモ、トウモロコシ、野菜などと共にリゾット風スープとして伝統的に食されている。また、キヌアの粒を挽いた粉を使って無醗酵パンや団子が作られている。
キヌアの応用
欧米では、シリアル、パスタ、スナック、フード、リゾット、スープの調理に、或いはレトルト食品や冷凍食品などの加工食品のレシピとしても利用されている。
麦と異なりアレルゲンを持たないことから、アトピーなど穀物アレルギーに悩む人の為の「除去食」或いは「回転食」に適している。ふんだんに含まれる繊維質は便通改善、肥満防止、コレステロール値を改善し、高血圧の予防にもなる。鉄分やカルシウムが多いので骨粗しょう症の予防にも効果的。
精白キヌアは味に癖がなく、単独でも他の食材とのコンビネーションにおいても幅広い応用が可能である。日本や欧米諸国では、ビスケット、飴、キャンディー、かりんとう、おこし、せんべい、味噌、醤油、キヌア茶、スープなどへの応用例がある。

家庭でのキヌア調理法

① キヌアを良く水で洗う。
② 鍋にキヌア1カップと水2カップを入れ15分程煮込む(歯ざわりを残したい時は気持ち短めに)
③ 皮がはがれ、中の実が半透明になったら出来上り。
※ ①~③の手順で作ったキヌアは、ピラフ、炊き込みご飯、お粥、スープ、フライの衣等としてお使い頂けます。
※ 水を切って冷蔵庫に入れておけば、作り置きも可能。

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