タユヤは、ブラジル全域とアマゾン熱帯雨林の多くの地域で見ることのできる木本性の蔓植物です(1)。この重要なアマゾン薬用植物はひょうたんの仲間で植物学的にはウリ科に分類されています(2)。ウリ科には多くの植物が分類されていますが、その共通点は長く、塊状の根にあります。タユヤは、『Cayaponia tayuya』『Trianosperma tayuya』『Bryyonia tayuya』『Cayaponia ficcifolia』を含む幾つかの植物学名 で知られていますが、これらすべてはタユヤを指し示すものです。
南米原住民によるタユヤの利用
タユヤは、先史時代より南米先住民の人々により利用されて 来ていて、その利用価値については異論がありません(2)。伝統的に強壮剤や血液浄化剤として用いられ、その苦みの強い 風味を和らげるために少量のハチミツやステビアと組み合わせて飲用されるのが常となっています(2)。アマゾン熱帯雨林ではタユヤの根が毒蛇に噛まれた時の治療やリューマチに用いられてきた歴史があります(3)。また、コロンビアの先住民は、目の痛みや炎症、ペルーのインディヘナの種族では皮膚病に用いています(1)(4)。
ブラジルのハーブ医療でのタユヤの利用法
ブラジルのハーブ医療ではタユヤが伝統的且つ多様な用途に用いられています。
植物学者 J. Monteiro da Silvaは自身の著書の中で、タユヤはあらゆる種類の痛み止め、苦痛緩和、抗梅毒作用因としての利用が推奨されているいことや、タユヤの持つ代謝機能調整機能について書いています(5)。
今日でも、鎮痛、抗炎症、強壮、浄血、解毒、下痢としての利尿効果、癲癇、代謝機能調整、腰痛、坐骨神経痛、頭痛、痛風、神経痛、便秘、貧血、コレラ、消化不良、胃痛、 疲労回復、皮膚病、関節炎、リューマチ、梅毒、間接の腫瘍、一般的な鎮痛などの用途でタユヤが用いられています(2)(6)(7)。
米国におけるタユヤの利用法
タユヤの鎮痛効果は、北南米において高い評価が与えられています。米国では多くの自然療法士が、過敏性腸症候群、消化不良、神経痛、痛風、頭痛、 リューマチ、代謝機能の調整にタユヤを用いています(8)。
また、血液浄化や解毒作用に関する有効性を示す研究リポートが公表されていることから、水の溜まり、顔のしみ、湿疹、ヘルペス、重傷のアクネ、皮膚病の治療に用いられることもあります(8)。
更にスポーツトレーニングや疲労回復、蓄積した尿酸を取り除くためのサポート、むくみの除去、感情的な疲労や落込みの 緩和などでも利用されています(9)(10)。
治療学的には1日3~4gの服用が良いとされています。
タユヤに関する科学的アプローチ
タユヤの持つ鎮痛効果や抗炎症特性については、南米先住民が長年利用してきた民間医療での用途の多くを支持する形で、科学的にその有効性を確認している研究リポートが1991年に発表されています(3)。また、クベルビタシンやグルコシド、抗酸化や抗炎症特性、鎮痛効果を持つ植物化学物質がタユヤより分離されています(11-13)。更に、サポニン、 ステロール、フェノール類は、ウリ科の他の植物に含まれていることが知られています(4)。
『Superoxide scavenging properties of flavonoids in a non-enzymic properties』(酵素の働きによらずに超酸化物を取り除くフラボノイド類の特性)と題された研究リポートによると、タユヤに含まれている植物化学物質は、抗酸化効果を発揮しつつ遊離基を取り除く強力な特性を持っていると述べられています(14)。
近年発表されたT. Tonoshimaによる研究では、タユヤに含まれる植物化学成分が ウスの皮膚においてエプスタインバーウィルス(癌に関係すると言われている)の活動を著しく抑制したり、抗腫瘍作用があることが提示されています(15)。
【出典】
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Huguet, A.I. et al 1990." Superoxide scavenging properties of flavonoids in a non-enzymic system,", Z Naturforsch [C], Jan-Feb.
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